サロンといっても色々あります。
脱毛サロンであれば清潔感を重視、ロミロミサロンであればハワイの雰囲気を演出する、とった具合に、サービスによって世界観を研ぎ澄ませる必要があります。
床壁天井面から家具照明小物まで、できればすべてのマテリアルを世界観に合わせた形でデザインしていく必要があります。
資金があまりないということで、小物だけでインテリアコーディネートをしてほしいといったケースもありますが、できれば床や壁など、面積の大きい部分から取り組んだ方が効果は高くなります。

没入感とは、その場にいるようなリアリティを感じさせるということです。
画像をみただけで、サロン内で施術を受ける自分、さらには施術後の美しくなった自分までを想像してしまうような空間を演出します。
没入感を与えやすいインテリアツールは照明です。エステ系サロンは、ある程度薄暗い空間に照明効果でメリハリをつけることで没入感を感じてもらいやすくなります。
脱毛系サロンは、すべてをワンカラーで統一する、エンボスのないつるっとしたテクスチャにこだわるなどして、お客様がつるつるのお肌になるイメージが膨らむようなデザインを意識します。

どんな人に来てもらいたいか。具体的には、男性なのか女性なのか、何十代なのかといったところをある程度はっきりさせます。女性が好むインテリアと男性が好むインテリアは違います。もちろん傾向の話です。また、20代が好むインテリアと40代が好むインテリアも違います。そういったことを踏まえてデザインに落とし込みをしていきます。

どんなイメージを与えるかというのは、お客様に与えるサロンのイメージのことです。
ネイルサロンであれば、気軽に何度でも通えるお店だと思ってもらいたいのか、技術力の高いオンリーワンのネイルデザインをしてくれるところなのか、爪のケアに重点を置いたネイルサロンなのか、といった具合に、同じネイルサロンでも目指す方向性は千差万別です。開業をするときはそこまで考えるのは難しかもしれませんが、ふんわりとでもイメージを持っておくとデザインにも反映しやすくなります。

ラグジュアリーな体験を重視するサロンであれば、ラグジュアリーな雰囲気のデザインにする必要があります。
10代の女の子向けのサロンであれば、10代の女の子が気兼ねなく利用できるデザインにする必要があります。
サロンのコンセプトに合わせて、そのターゲットに一番マッチする形でデザインを行います。ちなみに、ラグジュアリーがコンセプトだからといって高級建材を使用することは必須ではありません。工夫次第で、高級感のある雰囲気づくりは十分可能です。

開業前にインテリアデザイナーに空間をデザインしてもらう。
家具や小物のコーディネートもしてもらう。
ここまではプロがやってくれるので問題ありません。
問題は、開業後のメンテナンスです。
小物のコーディネートが非常に繊細で再現するのが難しい。
掃除するのに手間がかかってしまい負担に感じる。
こういったメンテナンスの難易度の高い空間は清潔感を維持するのが難しくなってしまいます。
美容室に行った当日は素敵なスタイリングで大満足だったけど、シャンプーをしたら再現できなくなってしまったという経験はだれしもあると思いますが、それと同じです。
サロン空間の清潔感を維持するためには、メンテナンスが難しくないことが大切なポイントになります。

清潔感を感じるためには統一感が必要です。
ひとつひとつは素敵な家具だけど、同じ空間に並べてみたらしっくりこないということがあると思います。
ゴミやほこりがないといった直接的な清潔感とは種類が違いますが、この「しっくりこない」という感覚は間接的に清潔感につながると考えます。
デートの待ち合わせで、相手が全身新品の洋服でコーディネートをしているけど、なんだかしっくりこないという経験をしたことがある人もいるかもしれませんが、あの感覚と同じです。

サロン設計をするときに大切なことのひとつがスタッフのオペレーションです。具体的には動線設計や、スタッフ感のコミュニケーションを円滑にするための工夫になります。準備のためにお客様に待ってもらうという状況はあると思いますが、お客様が不安を感じるほどお待たせしてはいけません。そのために準備がしやすいような設計をする、お待ちいただくための椅子はゆったりとしたものにするなど配慮をします。入店したお客様にすぐに対応できるように、壁などで視線を妨げないようにする配慮も大切です。

美容室ではお客様はカットをしたりシャンプーをしたりと移動を繰り返します。
また施術の途中でトイレに行くこともあります。
そういたときの動線への配慮がお客様の安心感につながります。
基本的にはなるべく移動距離を少なくすることです。
あとはサロンのコンセプトにもよりますが、個室空間はそれだけで価値を高めやすいです。
個室内で全てが完結するオペレーションは、それだけでお客様の非日常を演出し満足度を高めます。
そして、経営的には客単価を上げやすくなります。